同じ契約でも印紙税のかかるものとかからないもの

同じ契約でも印紙税のかかるものとかからないもの

契約書や領収書などに収入印紙を貼りますが、それは印紙税法で定められているからです。法律で定められた課税文書に対して課される国税が印紙税です。そして、収入印紙は印紙税の徴収のために政府が発行する証票のことであり、税額と同じになるように1円から発行されています。

●課税文書

同じ契約でも印紙税のかかるものとかからないもの

印紙税法で定められた課税文書とは、以下の3つ条件の全てに該当する文書のことです。
①印紙税法の表に掲げられている20種類の文書であり、且つ課税対象事項が記載されている。
②課税事項を証明する目的で、当事者同士が作成した文書である。
③印紙税の課税されない非課税文書ではない。

収入印紙を必要とする文書には主に以下などがあります。

①売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書など
印紙税額は一律で 4,000 円と定められています。
②領収書
印紙税額は領収金額が5万円未満なら非課税、5万円以上100万円以下なら200円など、金額によって印紙税額が変わります。領収金額が未記載の場合は200円が印紙税額になります。

印紙税法で「非課税文書」や「不課税文書」とされている文書は収入印紙が要りません。
・非課税文書:印紙税の課税文書ではあるが、例外的に課税されない文書
契約金額が少額の契約書、病院などでもらう領収書(医師や柔道整復師などが作成する受領書)、公益法人や弁護士、税理士などが業務上作成する受領書は非課税文書です。
・不課税文書:法律で規定されている課税文書に該当せず、課税対象とならない文書
官公庁などに提出する文書や雇用契約書、労働者派遣契約書、業務提携基本契約書などが該当します。

●収入印紙の金額一覧

収入印紙の種類は以下の31種類です。
1円、2円、5円、10円、20円、30円、40円、50円、60円、80円、100円、120円、200円、300円、400円、500円、600円、千円、2千円、3千円、4千円、5千円、6千円、8千円、1万円、2万円、3万円、4万円、5万円、6万円、10万円

●業務委託契約書の課税と非課税

印紙税法による課税文書は画一的に規定されているわけではありません。例えば、同じ業務委託契約書でも請負契約は課税されますが、委任契約は課税されません。課税文書の可否は作成した文書の種類で決まるのではなく、文書に記載されている内容で決まります。

委任契約が課税されないのは、委任契約が請負契約と違って成果物を問われないからです。成果物を問われない契約は課税文書には該当しません。例えば、家のリフォームの請負契約の場合は、リフォームの完成という成果物を問われるため、収入印紙の必要な契約です。一方、リフォーム工事の作業を委任された場合は、単なる労働契約であるため、収入印紙は不要です。

なお、印紙税の金額は報酬の記載の有無や、契約期間などで変わります。例えば、請負契約を結んだ場合、契約書に金額が記載されていない場合の印紙税は200円です。また契約期間が3ヶ月を超える場合は4,000円の収入印紙が必要です。

ちなみに、業務委託契約を結ぶ場合は委託者と受託者がいますが、収入印紙に消印をするのは委託者だけで構いません。なお、消印は委託者のものと判明することが必要であり、単に「印」と書いただけでは効力がありません。なお、印鑑ではなく、サインで代用することは可能です。