不動産投資は一般に数千万〜1億円以上の資金が必要なため、ローンを組むケースが大半を占めます。しかし、金利の負担が大きいと感じたり、収益を効率化したいと思うことも少なくはないでしょう。もしこのように感じた時は、不動産投資ローンの借り換えも考えてみることをおすすめします。
不動産投資ローンの借り換えは決して珍しくありません。キャッシュフロー改善策としても有用な手段です。一方で少なからずデメリットもありますので、慎重な判断をおすすめします。
不動産投資ローンを借り換えするメリット
不動産投資ローンの借り換えには、以下で説明する3つのメリットがあります。特に収益面での恩恵は大きく、キャッシュフローを効率化して収益を増加させることも可能です。物件の収益が上がらずお悩みの人にとって、借り換えは一考の価値があります。
金利を下げられる可能性がある
不動産投資ローンを買い替えする一番のメリットは、金利を下げられることがある点でしょう。不動産投資ローンの金利は決して馬鹿にできず、少し下がるだけでも将来の返済額に大きな違いが現れます。
例えば金利2.0%で5,000万円を借り入れているとします(借入期間は35年)。この場合は総返済額が約6,900万円ですが、借り換えで金利が1.5%になると、返済額が500万円近く減り、6,400万円で済みます。
このように金利が0.5%下がるだけで、最終的な負担は数百万円も変わります。将来の資産形成にも関わりますので、借り換えによって金利を下げることは大きなメリットといえます。
物件の収益性アップにつながる
金利が下がると不動産の収益性が高まります。返済期間が同じ場合、月々の返済額は減らせますので、その分手取りが増加します。
例えば毎月の返済額が1万円減ると、1年間で12万円の収益増加となります。わずかな金額に思えますが、10年で120万円、20年なら240万円もの違いが出てしまいます。増えた収益を他の投資に回せば、より効率的に資産を増やせるでしょう。
また、収益性が高まれば空室リスクにも備えられます。もし空室が続いて赤字になった時でも、ローンの返済額が少なくなれば経済的な負担を軽減できます。
金利の種類を変更できる
ローンは固定金利と変動金利の2つがあります。固定金利は契約時の金利が完済までずっと続く一方、変動金利は定期的に見直され、利率が変化する場合があります。
不動産投資ローンは、一度契約すると金利の種類を変更できません。しかし、借り換えは新たな条件でのローン契約になりますので、金利の種類を変えることが可能です。
固定金利と変動金利は、一概にどちらが有利とはいえません。借り入れ時期や経済状況など、さまざまな条件で判断するべきですが、借り換えは金利の種類を見直す最適な機会といえるでしょう。
不動産投資ローンを借り換えするデメリット
上記のみを見ると、不動産投資ローンの借り換えを即断する人は少なくないでしょう。確かにメリットは目に付きますが、デメリットの存在も忘れてはいけません。
申込時の状況によっては借り換えが難しい
まず注意しておきたいのが借り換えの可否です。不動産投資ローンの借り換えは、別の金融機関でローンを新たに契約し、現在借り入れているローンを一括返済するに過ぎません。
このため、再度審査を受けなくてはいけませんが、申込時の健康状態や収入によっては審査で落とされる可能性があります。借り換えしたい人は、事前に審査が通るか金融機関に相談してみましょう。
融資期間が短くなる(月々の負担が増加する)場合がある
もし借り換えが可能だったとしても、物件の状態によっては融資期間が短くなることもあります。不動産投資ローンの融資期間は、物件の法定耐用年数が影響しています。新築であれば35年のローンを組むことも難しくはありませんが、築年数次第では融資期間が短くなり、より短期間での完済が求められます。
返済期間が短くなると、月々の返済額が増加する場合もあります。ローンから解放される時期が早まるのは利点ですが、かえって負担が重くなる点に気を付けましょう。
繰り上げ返済時の手数料が発生する
現在借り入れているローンを繰り上げ返済をする際、所定の諸経費が生じる場合もあります。手数料が高額になるケースも珍しくないため、どの程度発生するか事前に見積もりを出しておきましょう。
ただし、手数料は経費扱いにできます。確定申告時に損益通算も可能ですので、少なからず節税になるでしょう。
返済シミュレーションをして借り換えの判断を
不動産投資ローンを借り換えると、物件の収益性を高められる可能性がある反面、借り換え自体が難しかったり、融資期間が短くなったりする場合もあります。いずれにせよ、借り換えするべきかどうかは返済シミュレーションを実施したうえで判断しましょう。