母から舞い降りてきた不動産の話
私が一人でアパート住まいをしていたが、母が土地を買ったからという。
どういうことかと聞いたら、いい土地が分譲してたので10万円で申し込んだから、
あとはあんたが払えという話である。
60坪で2200万円。何を勝手なことをと思ったが、貯金もあったし誰かが背中を押してくれないと土地なんて買う気にならないので思い切って買うことにした。
頭金に1千万出して残りは20年月賦。建築条件無しということで家はゆっくり建てることにした。
どのような土地だったのか?
母が言うにはあの土地は昔畑だったところだから地盤がしっかりしている。昔田圃だったところは、陥没する恐れがある。盛んに自分は良いところを見つけたのだと勝手に手柄話にしている。
母の手柄話を聞かせられる度にこちらはテンションが下がる。1千万払って殆ど貯金はなくなってしまった。
あの1千万はもう帰ってこないと思うと取り返しのつかないことをしてしまったと思う。
大体土地だけ持っていてもしょうがないから、いずれ家を建てねばならない。調べると注文住宅で2千万位は掛りそうだ。本当に払えるのだろうか?
今の務めだって公務員じゃないから、先行き何の保障もない。
元手の計算が出来ておらず痛手を負う
親父が国鉄職員で親方日の丸だったから母はその辺の民間の感覚が分からないのだ。
ある日土地を買った先から連絡があって、住宅部門の担当者がお話をしたいと言っているのですがと言うので、夜来て貰って話を聞いたら今すぐここで
家の建築を決めなさいみたいな様子で、こちらは全くその気になっていなかったので、あまりのしつこさに怒って帰ってもらった。
土地を買って2年が過ぎ、同時に売りに出された隣近所は皆真新しい家が建った。
私の土地だけがぽつんと空き地、草茫々で残っていた。